借入やクレジットカード審査で耳にする「ブラックリスト」。
そんなものが本当にあるのか疑問に思っている人も結構多いと思います。そういう意味では、ちょっと都市伝説っぽい話のような。
結論を言ってしまうと、そんなものは存在しません。
ただ「ブラックリスト的なもの」ならばあるという。
今回はそんなお話。
photo by Tom
ブラックリストなどというものは存在しない
「ブラックリスト」という言葉には「金融機関が表に出さずに抱えている融資不適格者の秘密の名簿」といった響きがある。もしそんなものがあったらそれはそれで興味があるが、実在はしない。
ただし、少し回りくどい言い方になるが、同じような役割を果たすものならばある。
それは個人信用情報と呼ばれる、個人の借入に関する信用情報のこと。
個人信用情報機関の存在
金融機関に勤めていなければあまり知る機会はないが、実は日本には、個人の信用情報(借入に関する情報)を一括で管理している機関が存在する。
それは、一般に個人信用情報機関と呼ばれる以下の3機関のこと。
株式会社シー・アイ・シー(CIC)
http://www.cic.co.jp/
全国銀行個人信用情報センター(KSC)
http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/index.html
株式会社日本信用情報機構(JICC)
http://www.jicc.co.jp/
もしクレジットカードを一枚でも持っていれば、金融機関に1円でも借入があれば、必ずこの個人信用情報機関へ契約情報などが登録される。
気づいていないかもしれないが、クレジットカード申込書や借入申込書にはほとんどの場合、「個人信用情報機関への照会、登録および利用」に関する同意印を求める箇所があり、規約にもそれが書かれている。
では、いったいどんな情報が登録されているのか?
まとめると下記の通り。
- 基本個人情報:氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、勤務先
- 借入契約情報:ローンやクレジットカード契約状況、借入金額、返済・完済情報
- 事故情報:延滞、代位弁済、強制回収手続きなどのネガティブな情報
- 申込み情報:ローンやクレジットカードの申し込みの事実があったこと
氏名や生年月日などの個人情報や借入の契約内容だけならまだしも、返済の情報や現在の借入金額、延滞したかどうかまですべてわかるようになっている。個人情報としては結構生々しい。
これらの情報は金融機関が新たな借入やクレジットカードの審査を行う際に利用される(上記の通り申込書で同意がなされた上で)。
例えば現在の借入状況をチェックして返済比率(年収に占める返済額の割合)を計算したり、過去に延滞や代位弁済(返せなくなった人のかわりに、いったん保証会社が金融機関へ全額返済すること)などがなかったかなどを、金融機関はこの仕組みを使って調べることができる。
一般に、これらの信用情報は非常にセンシティブなため、金融機関では特定の審査部署の人たちしか見ることができないことが多い。例えば借入の申し込みを受け付けた営業マンや窓口担当などには内容が開示されないことがほとんどらしい。
ブラックリスト的なもの
少し話が脱線してしまったが、金融機関の借入審査・クレジットカード審査においては、この個人信用情報こそがブラックリスト的な役割を果たしていると言っていい。
それは個人信用情報の中にある下記の情報。
事故情報:延滞、代位弁済、強制回収手続きなどのネガティブな情報
ブラックリストと呼ばれるものがもしあるとすれば、この事故情報を比喩的にそう呼んでいるだけだろう。
実際に、この事故情報を「ブラック」と言い換える表現は、銀行員の日常会話で使われたりもする。
この事故情報があると当然ながら審査では大きなマイナスになる。長期間の延滞や代位弁済などがある場合は、まず審査は難しいだろう。
つまり、ブラックリストが「融資不適格者のリスト」であるならば、この事故情報こそがそれに近しい役割を果たすものと言える。
おわりに
個人信用情報により、借入に関する情報は金融機関に筒抜けになっている。
当然ですが嘘はつけませんね。